Jazz Vocalist & Pianist Kanna Nakamura
About Jazz

ジャズの楽しみ方

音楽の楽しみ方にはさまざまな方法があります。今はいろいろなツールで音楽を楽しむことができますが、私は音楽の楽しさは生の演奏から感じられるものだと思っています。

ではジャズの音楽はどこで聴けるのでしょうか?

ジャズは実は身近に生の演奏を楽しめるジャンルの一つです。クラシックやポップス等と違ってジャズ界は有名な人以外は情報があまりオープンでないように思います。ジャズの演奏というとちょっと難しい、敷居が高いように感じられる方もいらっしゃるかと思います。しかし、一見難しそうでもジャズで演奏される曲、いわゆるスタンダードはもともと口ずさみやすい、わかりやすいメロディのものが多く、かなりしゃれたものが数え切れないくらいあります。さらに演奏者によって曲に個性が加えられより活気のある音楽として演奏されます。これには時代は関係ありません。曲が作られた頃の雰囲気に思いをはせたり、若いミュージシャンのかっこいい演奏を楽しんでいただくのもよいですし、聴いて下さる方それぞれの楽しみ方があると思います。

街角では毎晩どこかでこんな世界が繰り広げられているのです。大きな看板はないお店も多いですが、その日の出演者の名前が書いてある看板(たいていは手書き)があります(写真)。是非このような世界にお気軽にお立ち寄りいただければと思います。

ジャズの楽しみ方

私と音楽、ジャズ

元来、ジャズには暗い社会背景もあります。当時の暗い時代背景や差別などです。何となくかっこいい、素敵で楽しいだけのものではないのだと思いますが、そこにはしゃれたメロディー、演奏があります。私にとっては、どうしてもやってみたい、という強い気持ちになるだけの魅力がありました。

私は、子どもの頃からピアノを習っていましたが当時の音楽教育は厳格であったためか中学生の頃に壁にぶつかってしまいました。高校生になったある日、たまたまジャズのレコードを耳にした時のことは今でもよく覚えています。使われている音、リズムもおしゃれでビート感もありいい気持ちになりました。これに憧れて夢中になり、何度も何度もレコードを聴きピアノで真似しました。
しかしこれには想像以上に厚い壁がありました。楽譜に書いてある事以外は何もできないのです。ジャズの楽譜はクラシックのように演奏される音が全て書いてあるわけでなくメロディーとコードだけです。練習方法を求めてジャズピアノの理論本やコードブック、楽譜を濫読しましたが、むしろがんじがらめになってしまいました。いくら指が動いても本当のジャズピアノは自分には無理だと考えました。

その後20年近くブランクがありましたが友人の住むニューヨーク見学の後ようやく自分は音楽が好きなんだと再認識し、どうしてももう一度挑戦したくなり再びジャズピアノ教室の門を叩きました。その後、きっかけがあり歌も始めました。ピアノと歌、両方ともそう簡単にはいきません。しかしすばらしい指導者や仲間のおかげで、10年以上経った今ようやく少し楽しめるようになってきました。時間がかかりますが私にとって音楽は一生かけて考えていく事で、まだまだ楽しみもあるのだと思っています。またライブやいろいろな人との出会いの中で、じかに音楽の魅力や楽しさを体験できて私は本当に幸せだなぁと感じています。

私と音楽、ジャズ
ピアノ:石渡雅裕さん、ベース:吉木稔さん

ジャズを歌うようになったきっかけ

人はどんな時に歌うのでしょうか?悲しいとき、楽しい時、いろいろあると思います。自分がなぜ歌、ジャズの歌を歌うようになったのか、自分でもはっきり認識していませんでした。最初は何となく‘かっこいい’からだったと思います。
気分がよいとき思わず鼻歌が出てくる事があると思います。また疲れていたはずなのに、歌っているうちに楽しくなってきた事は多くの人が経験されていると思います。就職後は長い期間、時間的余裕が全くありませんでしたが、弟の結婚式で歌った時に、なんて楽しい世界があるのだろう!と今までの苦しい事が一気に吹き飛んでしまうような気持ちになった事を今でも鮮明に思い出します。

それからもう一つ今でも忘れられない事があります。病後まだ声が出ない時、ピアノの練習中の事です。あまりにきれいで素敵なメロディーだったので、思わす口ずさんでしまったことがあります。その時に“はっと”なりました。声が出ていたのです。この時からまた歌えるかもしれない、やってみようと前向きな気持ちになりました。

ジャズを歌うようになったきっかけ

練習、トレーニングのエピソード

声帯麻痺になると個人差はありますが、声がかすれてしまいます。トランペットで言えばマウスピースが無くなってしまったような状態かと思います。私は最初の頃は会話でも声がこもってしまい、一日中小さな防音室に入っているように感じました。息切れもありました。のどの周りだけが自分の身体でないような変な感覚がありました。歌どころではありませんでしたが、あえて深く考えず、すぐに声のリハビリ施設を訪れました。とくに低音が出ませんでした。高音では声帯を緊張させて声を出すのに対して低音は声帯を緩ませなくてはいけないからです。言語聴覚士の指導者とともに練習しました。今まで使っていなかった筋肉を使ったりして以前できなかったことがほんの少しずつでもできるようになると嬉しくてそれが心の支えになりました。人間の身体はすごいと思いました。また意外にも基本的な発声ができていない事もわかりました。

歌を勉強する上ではたくさんの課題や勉強、練習方法があると思いますが、予期せず声帯麻痺になってからは目標がはっきりしてむしろ楽になりました。第一の目標は『いかに身体から声を自然に出すか』です。これはまだ思うようにできません。もちろん歌の勉強をしていく上でこれだけでは不十分です。麻痺と関係ない事もあるかもしれません。が、迷った時には私は基本に戻るようにしています。これをずっと続けていきたいと思っています。

練習、トレーニングのエピソード
ピアノ:石渡雅裕さん